レモンドロップス。
公園の中で菜美と真正面で向かい合っているのは、確かにいずみちゃんだった。
なんで菜美といずみちゃんが・・・?
わけがわからないまま、あたしはとにかく二人の話し声に耳をすませた。
「・・・それであたしになんの用なの?」
いずみちゃんの声がはっきり聞こえる。
どうやら菜美が呼び出したみたいだけど、いずみちゃんは堂々としていてまっすぐ菜美を見つめている。
「別に用なんてないけど、聞きたいことがあっただけ」
菜美は静かな声で言った。
「最初に言っとくけど、あたしは乾くんのことが好きなの。でも乾くんはあなたのことが好きだって言われてフラれたんだ。」
いずみちゃんは黙って菜美を見ている。
「フラレたのは仕方ないことだって分かってるよ。人の気持ちはそれぞれだし。でもね・・・」
菜美は一瞬唇をキュッとかむと
「あなたも乾くんの気持ち知ってて、なんで彼の目の前で戸田君とベタベタしてるの?彼のこと傷つけてるって分かんないの?」
あたしは思わず息を呑んだ。
菜美は見たことがないくらい攻撃的な、鋭い目をしてる。
「あなたには関係ない」