王子様との1ヶ月
「もう降ろしていいよ」と言ったのは、椅子ばかり置いてある物置みたいな場所だった
久遠を降ろした俺は倒れこんだ
当たりまえのように「体力ないね」なんて罵声を浴びせられた
「ここ、窓から簡単に入れるんだ。人も来ないし、なかなかのサボりスポットでしよ?」
「そうだね」とだけ言って窓から入って椅子に座った
「あー久しぶりに、あんなに笑ったよ、ふふ」
(そういえば、こいつがおもいっきり笑ったとこ初めて見たかも)
「俺は真冬にこんなに汗かくとは思わなかった」
あははっと大口を開けて、また笑いだした久遠の姿を見て、なんだか新鮮でこっちが嬉しくなってきた
「笑いすぎてお腹痛いよ」なんて言いながら、俺の肩に身を預けてきた
おんぶした時に思ったけど、こいつは軽い
平均よりも明らかに痩せてるし、肩幅も狭いし、腰も細い
色々考えてながら久遠を見ると、目を閉じていた