王子様との1ヶ月
「ふーお腹が爆発しそうかも…」
半分本気で言った俺の言葉に「もっと食べれるでしょ」なんて残った唐揚げをあーんと口に無理やり押し込んでくる
ばか騒ぎしながらも楽しい時間はすぐに過ぎていった
気が付くと21時を過ぎていた
「もう遅いし帰るよ、久遠の親も帰ってくるだろうし迷惑だから」
すると今までずっと笑顔だった久遠の顔は一変して悲しい顔で俺を見た
「親は帰ってこない」
「え?」
「だから親は今仕事で2ヶ月くらいいないの」
「あ…そうなんだ」
久遠の親の話しは一度もしたことがなかった
共働きで、しかも家にはたまにしかいないことも初めて知った
親の話しをするときの久遠の顔はどこか悲しいような目をしてたんだ
だからといってこれ以上は久遠のそばにいるのは無理だと思った
何故か心臓がモヤモヤする
「今日は泊まっていったら?」
久遠が寂しい思いをしているとわかっていながら自分の心臓が保たないのを確信して断った
この時初めて久遠の目が涙ぐんだのを見た