王子様との1ヶ月
戻ってきた俺はチャイムも鳴らさないで扉を開いた
すると玄関の前で久遠がうずくまっていた
「久遠…?」
「な…んで」
上げた顔は涙がすでにこぼれていた
涙を見た瞬間にとてつもなく最悪なことを俺はしたんだと思った
思わず抱きしめた細い体は冷たく震えていた
「ごめん…俺最初はお前のこと大嫌いだった。けど話していくうちに俺久遠とあと1週間しか居れないんだと思ったら、なんか寂しくて苦しかった。今だってこれ以上一緒に居たら後々辛い気がして…この気持ちが何なのかわからないのが怖かったんだ」
久遠はびっくりしたように目を大きく開いている
「でもね今わかったよ」
真っ直ぐ目を見て
君にありのままの気持ちが伝わるように
「好き」
「言うのが遅い」って真っ白な肌が赤く染まりながら言う久遠の顔を見たら、いとおしい気持ちでいっぱいになる
好き…言葉では言い表わすことは出来ないけれど、きっと君には伝わっているはず