王子様との1ヶ月






入学してから今まで久遠とは、必要以上会話をかわしたことはない




入学式の日に新入生代表か何かで、ステージに立っていたのは覚えてる





あの時からこいつは皆を釘付けにしていた





(やっぱ近くで見ると圧倒される…オーラが光ってるよ!ピカピカしてるって!)





「ねぇ、岩瀬大稀くん、だよね?ビリの」




腕を後ろに組んで、俺の顔を覗きこんできた




「そーそー!今回の下僕は俺じゃなくてコ・イ・ツ」




「漣、うるさい…」





ため息をつきながら漣を黙らせた



「高田くんおめでとう、良かったね。まぁ次回からまた戻るだろうけどねっふふ」





「うぜー」とかギャーギャー騒いでいる漣を落ち着かせながら、聞いた




「で、命令はなに?」





「意外にいさぎがいいんだね」




「駄々こねたって仕方ないしね」




「そうだね、ふふ」




微笑んで口を隠す仕草は、女の子みたいだった




不覚にも少し、いや一瞬だけドキッとした




「まだ罰ゲーム考えてないから、放課後でもいいよね?」




「う、うん」




「それじゃあ放課後」




そう言って自分の席に戻っていった






(放課後か…教室掃除とかなら嬉しいんだけどなぁ)




色んな命令パターンを考えながら1日の授業は終わった






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