三つの月の姫君
ミスターは思っていた。
(そんなのは嫌だって言ってくれよ。戦ってくれよ。本気になって生きろよ。生きてくれ
よ! 世の中、猫背なんかになって歩くなよ)
だが、ミスターは肝心のことはしゃべらない質なので、当然その気持ちは伝わらない。
「馬鹿だおまえは。こんなに、近くにいるのに。星にさえ、近く手を伸ばすことができる
というのに、縮こまってばかりいる」
「いえ、明日は胸を張って死ねますよ」
いぶかしげにするミスターに、赤くなった顔を腕でこすって、青年はぽつ、と言った。
「魔物の呪いを受けるのは僕一人だけで良い」
一瞬、ざわりと空気が揺れた。
(そんなのは嫌だって言ってくれよ。戦ってくれよ。本気になって生きろよ。生きてくれ
よ! 世の中、猫背なんかになって歩くなよ)
だが、ミスターは肝心のことはしゃべらない質なので、当然その気持ちは伝わらない。
「馬鹿だおまえは。こんなに、近くにいるのに。星にさえ、近く手を伸ばすことができる
というのに、縮こまってばかりいる」
「いえ、明日は胸を張って死ねますよ」
いぶかしげにするミスターに、赤くなった顔を腕でこすって、青年はぽつ、と言った。
「魔物の呪いを受けるのは僕一人だけで良い」
一瞬、ざわりと空気が揺れた。