三つの月の姫君
 主人の言うとおり、きれいだった城の壁面には、どす黒い葉が絡み、全体を闇に沈ませていた。


 彼は何か見つけた様子だったが、青年には何も言わずに歩き始めた。


「えっ、どど、どちらへ?」


「だれかうろちょろしている。見てやる」


 途端に青年は及び腰になり、雇い主の襟の後ろをつまんだ。



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