三つの月の姫君
とりのこされて
―とりのこされて―



「今最高にうまい酒を飲んでいるんだ、おまえの顔など見たくもない。いねと言っている」


「あなた、未成年でしょう!」

 
 青年はためらわず男のグラスを払った。


「代わりを」


「聞いているのか、あんたは!」


 平然と男は繰り返す。


「代わりをもて!」


 命令するのが当たり前で、そこには支配階級の残酷な鋭ささえ忍ばれる姿だったが、こうして飲んだくれているのにはわけがあるのだ。




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