タイムリミット・2010
会社に着くと直ぐさま、課長のところに出向いた。
挨拶も間々ならぬ内に、企画書の説明を求められた。
夕べのチェックが功を奏した。
自分でも驚くくらい流れるような説明ができた。
あの課長も、珍しく褒めてくれた。
人間褒められて嫌な気分にはならない。
その日一日中すべてが順調に運んだ。
仕事が終わり、帰宅しようと席を立った。
トイレに寄ってから帰る事にした。
用を足して手を洗ってると、6日前と同じ視線をかんじた。
振り向くと、そこにはまたもう一人の僕がいた。
「もう、終わりだ。間に合わない」
もう一人の僕は、そう言い残すと、何処へともなく消えた。