オリヴァー・ジョーンズの事件簿
「ねぇ、お嬢さん」

どこからか、声音の高い男性の声が耳元に届く。

その声はとても陰険で、人を小馬鹿にしたようなものだ。
正直、こういっためんどくさそうな類いの予感に、私は嫌悪し、無視することを決めた。

「ちょ、お嬢さん?」

スタスタと、その声のするほうを見ないように。

「ちょっと、待ちなよ!お嬢さん!!」

段々と声が大きくなり、慌てていることが手に取るようにわかるが、ここはあえての無視。問答無用の無視。

私は人生においての蛇足は嫌いだ。
このような聞き覚えの無い、ましてや、人を見下したようなものに、私の散歩という大事な暇潰しを台無しにされては、うっかり、それの主を殺害してしまう。

そんなことはしてはならない。
なぜなら、昔、学校で、命は大切にしましょうと習ったからだ。

あと、約束やら、そんなちゃちだと思えるものを、遵守しろと。

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