オリヴァー・ジョーンズの事件簿
だが、次の一言で、私は思わず、そいつの顔を拝むことになる。

「アンノウンナンバー43、通称、ホワイトスノウさん。」

瞬発的に振り向いてしまった。
その番号も、その通り名も懐かしく、そしておぞましい響きだった。

私の忘れたい、逃げ出したい過去を知っている人物は、一言で例えれば、コジキ。
服はつぎはぎだらけ、顔はすすけていて、まだ、春が訪れて間もないはずなのに浅黒く、日に焼けていた。
髪は白く、目はまるで、死人のようなもので、生気というものは一切、宿していなかった。

「やっと、こっち向いた。昔の呼び名のが、やはりアンタにはしっくりくるのか。え?43」

「………」

私の過去を知っているから何だ?

私はこのコジキを知らない。
ならば、厄介ごとにわざわざ関わりたくはない。

「人違いだ。じゃぁな」

コジキに一瞥して、踵を返し、また散歩を再開した。

後ろでギャーギャー喚いているが、厄介事を持ち込むを知って、なお関わりたくなどない。

人生に蛇足など要らない。
全く、その通りだよ。流石、私だ。

名言ばかり、生み出している。
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