オリヴァー・ジョーンズの事件簿
「そうですかぁ。それは災難でしたね。んじゃ、これで」

そのまま、矢の如く、風のごとく、その場を去ろうとした僕の肩を強く掴まれ、体の重心が後ろに残され、体勢を崩しそうになった。

「そんな慌てることはないだろう。私から逃げるような速さで」

えぇ、あなたから逃げたいんですよ。
心の中でそう呟く。
寝起きの所長は心底、扱いにくい。

一年くらい前に、昼間に起きたことがあったのだけれど、「暇潰しに付き合え」と一言と笑顔。

その後、彼女が睡魔に襲われるまでの二日間。
不眠不休(使い方は間違っているけど)、彼女の遊びと称する拷問を受けた。
その拷問の内容は、夜中にピンポンダッシュを百回するまで寝かせないだとか言って、ヤ○ザのお偉いさんだとかが住んでいる、とても治安の悪い場所で行ったり、樹海を探険して、ちゃんともとの場所に帰れるかの実験など、数えきれないほどのことをさせられた。
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