013★
屋上の扉を開けると、ヒュウと風が吹いてきた。
こらえていた涙が、急に溢れ出す。

力が抜けて、ガクンと座り込む。

『う…っ。ひっく・・・。』

離れてもいい?
一緒にいちゃ駄目?鬱陶しくなった?

涼太、好きだよ。
でも、同じ道進んじゃだめ?

『涼太…ば…ばかぁ。』
今、どんな顔してるかな?
涙と鼻水でグチャグチャだな…。

涙は拭いても拭いてもあふれ出る。


もう…、あの頃に戻れないの?






フワ・・・。


パサッ…。

上からタオルが落ちてきた。
あ…、いいにおい。レモンのにおい?

すぅ…とにおいを吸うと、少し楽になった。
『どうした?星野?』

声のするほうを振り向く。
太陽のひかりで、まぶしくてよく顔が見えない。

『誰?』
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