ファイブ
「これ…。わざわざ持ってきてくれんでも、捨ててくれてよかったのに」
どうせ、読まへんねんから…。
「時間あるときくらい、読んであげてもいいんじゃない?じゃあね、お大事に」
そう言って、富美江は部屋から出ていった。
扉の向こうで、様子を見に来たお母さんとの会話が聞こえてくる。
「お菓子くらい食べて行けばいいのにねー?」
そう言いながら、お母さんが部屋に入ってきた。
「てゆうか、頼道くん、超イケメンよね~♪」
「はい、よく言われます!お母さんも超美人やないですか」
やっぱり…。
お母さん、イケメンじゃないと家に入れないもんなあ…。
一般的に見て“超イケメン”って言われる頼道くらいなら余裕でスルーやな。
あたしにはどこがええのかわからんけど。
てか頼道、お前、ムカつくくらい潔いな…。
まあ十何年も生きてれば、自分が他人にどう見られるかなんて、分かりきってるか。
あたしも…、そうやし…。