ファイブ
「紅井<あかい>さ~ん 窓からプリント飛ばしちゃだめですよ~」

理科の細川<ほそかわ>や。いつものんびりマイペースで その上ちょっと小心者。名前の通りひょろっと細身。性格以外はそこそこカッコイイ方やと思うんやけどな。

「いつもいつも… あなたは地球環境破壊に貢献しているのですか~ 先生は悲しい」

細川はそう言って 細い目を更に細めて 白衣の裾を泣いてるみたいにこすりつける。下手な芝居。

「仕方ないから 新しいプリントあげます。また紙ヒコーキなんて折らないようにね」

細川はプリントをわたしの机に置くと「あと10分で仕上げるよーに」と黒板に書いた。
そんなん無理に決まってるから わたしはまた その時間を気ままに過ごすことにした。

勿論 プリントは紙ヒコーキと化した。見回りをしている細川がわたしの横を通り過ぎたと同時に 窓の外へと飛び立った。
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