恋の恐怖症
「まだ君のお母さんと入籍はしてないけれど、これから家族になるのにそんな他人行儀なのは少し寂しいな。無理もないことかもしれないけど、本当の父親だと思って接してほしいんだ。…できない、かな?」
「いえ、そんな滅相もないです…!」
「よかった。君はもう私にとって、血は繋がっていなくても本当の娘なんだから、何でも遠慮しなくていからね」
そう言って、わたしへと宗一郎さんは微笑みかける。
宗一郎さんの言葉の端々から、とても温もりがある優しさが感じられた。
「…はい、ありがとうございます」
まだ、少しは不安はあるけれど…。
宗一郎さん――“お父さん”と、本当の家族になりたいと、そのときのわたしは、心の底から思えた。