恋の恐怖症
「…おい、そこの変態。対面もしてねぇのに変なこと吹き込むな」
「…え?」
いきなり、わたしの後ろから高いような低いようなわからない声がしてきた。
「変態とはひどい言い草だな、ハル。もう少し父親に対しては尊敬の念を込めるべきだと私は思うんだが?」
え…は、遥綺さん!?
…わたしは突然の思わぬ人の登場に、背後にある人影を振り返ることができず、硬直してしまった。
「誰が尊敬なんかするかよ…」
遥綺さんらしき人の、呆れた声が斜め上から聞こえてくる。
え、待って待って待って!
まだ心の準備も何もできてないし、宗一郎さんだけで手一杯だったのにまさかの不意打ち…って、もともとは挨拶するのが目的だったんだけど、でもでもでも…!