恋の恐怖症
兄妹のつくり方
●遥綺side●
「………」
「…………」
今、俺と、俺の妹になる珠洲って奴の間には、何故か気まずい雰囲気が流れている。
珠洲はもともと無口なほうなのか、学校の女子たちみたいに口うるさい訳ではないらしい。
俺としてはそっちの方が助かる。
…だが。
「…………」
ずっと黙り込んでうつむいている珠洲に視線を向けてみるが、まったく話そうとする気配がない。
そしてこうなった事態は、すべてオヤジの意味不明な行動にある――。
――約10分前。
「お前…」
目の前に立っているのは、さっき駅前でぶつかった奴だった。
なんで、こんなとこにいるんだ?
「おや、二人とも知り合いかい?」
オヤジが隣で少し意外そうに首を傾げている。
「知り合いってか…さっき急いでたときにぶつかったっていうか…」
「そうなのかい?珠洲ちゃん」
急に話を振られたそいつ――珠洲は、再び固まっていた。