天翔る奇跡たち
迷子の洗礼


 ドロップスがいなくなった。
 
 っても、

 蒸発してしまったというわけでなく……。
 
 すぐに見つかりはしたのだけれど……


 なにか声のようなものが聞こえ、あたしはハッとした。
 
 救いは彼女が精霊の子―最後の生き残りと言われている王女だってことだ。

「ド、ドロップス!」


 あせって、荷物もなにもかも、放り出して駆けつけた。


 あたしは息を切らせながら、そう言った。


「あっぷるう……こわいろ」


 がけの下でてっきり、おだぶつかと。


 しかし、しっかり目を懲らして、声のする方を見ると……


 崖の下でちょうど飛び出てた岩に引っかかったらしい。 


 軽い羽音をさせて、ちっちゃな手足を振るわせながら彼女は飛びついてきた。

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