天翔る奇跡たち
いつも上手くのせられてしまうあたし……。ちがう、乗せてくれてるんだ。
たたかいのリズムに。そしてあたしにできることをさせてくれる。
「全く、ひやひやさせてくれるね」
今まで後ろで見ていたグリフは苦笑い。
彼はチーム唯一の純粋なアタッカー、でもただいま休憩中。
背も高く甘いマスクでタラした女性は数知れず。
(無意識らしい……参るなこりゃ)
彼を巡っての争いに、ついつい手を出すお人好し。
剣士なのに両手を怪我して治るまでずっと後方支援で頑張ってもらってる。
その彼が、
[脇門を目指すのが近道じゃないかな……]
なんて言うから、ガナッシュがおおはりきり。
「よーし、襲うぞ!」
「まって、まって! ガナッシュ。目的はそこじゃないってば。あたしたち中に入れるだけで十分。そりゃこんなに上手くいくなんて……」