天翔る奇跡たち


 と、柔らかな笑みとともに、グリフが優しく睨んだ。

「君が悪いよ、アップル」

 だってだって、とっても痛かったよお。

 そうして彼の視線をたどると、ドロップスがコヨーテの声で鳴いていた。子どもの、親を求める声で。

「ごめんなさい」

 なんで、ガナッシュのことを怒鳴る前に、この子を抱きしめてあげなかったんだろう……

 あたしは彼女の額にはり付いた金髪を一筋ひとすじ、取りのけてなでつけてやった。

「ちょっと、ショックで精神年齢が退行しちゃったみたいだけど、泣いたりわめかないのが逆に切なくてね……心配した」



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