天翔る奇跡たち
「ぶつと思ったのか、おれが、おまえを」
「あんたが村の取りかえっこをなんとかしようとしてたとき、世界は終わろうとしていた。なにもかもぐしゃぐしゃになりかけていた」
聞くと短いが記すと長い。のでだいぶはしょりますが。大体、こういう感じでした。
細い糸みたいなもので、繋がってた……あたしたちは……そう信じたかった。ねえ、世界が終わるとき、あんたはどこにいた? あたしのそばには居なかったでしょう? あんたは所詮、あたしなんかとは別の世界にすむ生き物よね? それで……いいのよ、ね……。
「ねえ、そうでしょう? あんたはあたしを本物の子供になんてしてくれなかった、あたしを置き去って帰ってこなかった」
瞬間、血潮のざわめきと、それを自ら断とうという心のさけびが刃となり、眼前を覆い、絶望となり、実体を隠して、はるか頭上で警笛を鳴らしていた。