天翔る奇跡たち


「ガナッシュにまかせたら途中で半分くらい軽くするだろう。だからアップルに頼みたかったんだ」

 そうそう、大事なご飯代なんですからね。

「言うねえ。オレの腕力よりアップルの細腕を頼るなんざ、人選ミスだったんじゃねーの」

 ガナッシュが今更な強がりを言った。ふふ。笑える。残念でした。ちゃんと運んだよ。

「腕力じゃない。責任感の問題だ。証拠にアップルは一片たりとも石を無駄にしたりはしなかった」

 そりゃ、ご飯代だし。

「どんなに息が上がってても、苦しくとも、弱音を吐いたりひとの足をひっぱったりしなかった」 

 グリフはきっぱり、気持ちよく言い切った。



「俺はアップルを買ってるんだ。我慢強いし、他のどんなオンナノコとも違う」





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