天翔る奇跡たち
 

 そ、それは……あたし自身、グリフをがっかりさせたくなかったからで、責任感だなんて、そんな、そんなこと無いよ。

 心の中では

「重いよー、死んだ方がましだよーっ」

 て弱音吐きまくってたんだから。

 でもね、これだけは確か。

 あたし、グリフのためなら何だってする。

 あたしは、他のどのオンナノコともおんなじ。

 グリフを好きなただのオンナノコ……なんだ。

「ったく、どのオンナノコと比べてるんだってーの。おモテになる方のこういうところが鼻につきますな。アップルに失礼じゃねーの」

 ガナッシュの一言に一瞬、胸の中がざわついたけれどすぐに忘れた。

「そんなこと、ないよ……」

 と、言って。

 あたしはグリフの傷を思った。

 次にグリフを傷つけるのはあたしかも知れないんだ。






< 155 / 225 >

この作品をシェア

pagetop