天翔る奇跡たち

 
 危ないあぶない。

「おかえり、ドロップス」

「あっぷるう」

「泣かない、なかない。ドロップスはちゃーんと、お約束を守れる、イイコだもんね!」

「んぐ、なかないろう……」

 ん、よしと。それにしても怖かったよね。もう、放さないからね。逆にこちらが涙目だ。

「ものすごい風だったね、ごめんね」

 あたしは、今度こそ彼女が飛ばされないように、握った手に力をこめ、よーく見た。

 ああ絡みやすいブロンドヘアが、もじょもじょしたかと思うと、素っ頓狂な声をあげる。
 
 あたしはもう、この娘は普通には暮らしてはゆけないんだ、半ばあきらめが入ってる。

 まあ、それは保護者たるあたし達の仕事がしごとだから、という面もある。

 彼女は森の精霊で、時期女王候補というのも不憫でならない。
 
 民はいないのに女王だなんて。
 
 因果としか言いようがない。

 これから彼女を待つ試練を思うと、胸が痛くなる。

 しかし、当面は我らが「何でも屋」と、寝食を共にすることになってる。

 家族同然、だからね!







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