天翔る奇跡たち
「それだけじゃないよ。金竜さん、一生里から出られないかもしれない」

「誰が決めたの? まさか女王様が?」

「そんなわけない。でも……彼女の相手は結局みつからなかったんだよな」

 それはあなたが居なくなってしまったから。

 だと思うけれど。

「気の毒に」

「だから、あなたが捕まれば話はとんとん拍子で進んだンじゃないの?」

 ところでね、どういう事なのか、オシメの子が伸び上がってグリフに言ったんだ。

「うわーい、がなしゅー!」

 ごめん、思いっきり人違いしてるね。ガナッシュは最上階でご飯、作ってるし……。

 というよりも、今の金竜さんの口ぶりはまるで……ドロップスみたいじゃなかった? 

 気のせいか、この子自身、他の子と違うようだ。

 まず、なにより身体が小さい。

 双子の金竜さんを見ても同じ事がいえる。

 周りよりもちょっとだけ、年若なのかもしれなかった。

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