天翔る奇跡たち
意外なことだったんだけど、くっついてるのがあたしレベルだったんで、嫉妬される理由がなくなったらしい。
実際、はっきり言われたことがある。
グリフに積極的なお姉さんから。
あたしがなんだか、可哀想なんだって。
しかし、誰も彼も、あからさまなんだものなあ。
美形のお友達がいると、それはそれで目の保養なんだけど。
彼らの見た目の派手さに臆して、二の足を踏んでいたファンも潜在的にいた模様。
いまではファン層がひっくり返っている。
自分の容貌に自信があって、ぐいぐい押しまくる強気な美女とか、ファンシーで乙女チックな奥手の娘とか、働き者でバラ色の頬をした清楚なお嬢さんとか。
そういう場合、彼女たちにはあたしが召使いに見えるか、そもそも目に映らないらしい。
そして誰もが二人に責任を求める。
……という。
裏側の話ばかり書いてしまったけれど、あたし自身、表に出やすいキャラではない。
裏方が多いの。
そのことを話すと、グリフは、あたしのこと、「縁の下の力持ち」て言った。
表舞台に出ては来ない功労者って意味よね……ありがとう。
ガナッシュのことも、
「親友でライバル。今のとこ勝ってるつもり」
なんてね、さわやかに言うんだよ。
良いんだけどさ。
あたしなんか、評価以前と言うことで、褒められつけてないから、しばらくにやにやが止まらなかった。
そんな感じだったから、ううん、あたしがだれか他者の気持ちを理解できるかっていうとぜんぜん違う。
それなのにジャガーさんてば、
「あなたは凄いひとだ」
って、
「竜の気持ちがわかるなんて!」
ていう。
なんといったらいいのか、
「え、いやあ、あの。単なるあてずっぽうっぽいけど、まあ、わかってくれたのなら、いいのよ、うんうん」
こういう、浮かれたときに限ってガナッシュが揚げ足取りに来るんだ。
初対面の人たちの前でもやるから、仕事がやりにくい。