天翔る奇跡たち
「なに、ひとのことにらんでんのー?」
「おい、非常食のことグリフに……」
「言ったよ。グリフはリーダーだし、あたしはご飯係だし。みーんな、ガナッシュが食べたっていったら、グリフ納得してくれたよ」「グリフが? ひとが眠っているスキに備蓄独り占めしかねない、食い意地の張ったグリフが? それで納得したのかよ?」
「まあ」
ほんとのとこは、あたしも知らない。
「なーんて。グリフはそんなひとじゃない。ちゃんと、わかってるって」
「おまーはどーなんだョ」
「いじけるなよ、青少年!」
「けっ、だーれが。おめーも道連れだ、こっちこい。作るの見てろっつんだ」
どすどす、と、最上階まで階段を昇って行く気らしいので、あたしはエレベーターに乗り込む。
「あー、ひとの苦労を見るのは楽しいなっと」
ふざけて言ったら、ドスのきいた声音で、ガナッシュが。
「見てろ、オレの腕前を見てびっくりこきやがれ、あ、なに楽してやがんだ!」
口の動きでなに言ってるのかだいたいわかる。なじみのある口調で、
「ちくしょうめ」
って……がなしゅー、頭かわいそーね。あたしは内心、哀しいキモチ。アハハー。
そんなこととは別にして。びっくりするんだ……どんな料理だろ。と、いつもとは別の期待感がわいてきた。ごはん係のあたしが言うのもなんだけど、彼、料理得意なんだよね。