天翔る奇跡たち
ああ……あたしは、昔グリフとガナッシュに命を救われた時のことを思い出していた。
後になって彼らは言うんだ。
『俺らは少なくとも嫌いな娘を助けようとは思わないよ』
うそだ。グリフはやさしい。命の瀬戸際で好きだの嫌いだのという人なんかじゃない。
みんなが期待しているグリフはそんなんじゃない……でも。一方的に思われても困るよね。
『それに……俺たちは君を試した。守るに値する人物か、をね。まあ、暇つぶしってこともあったけど。仕事にあぶれてたんで』
なんだそりゃっ! と、ちょっと思わないこともなかったけど。
『ドロップスの事は良いんだ。ほんとに。彼女が生きていく上で君は必要だったし、俺らは君をなかまだって思っていたから』
あたしはその言葉を思い出して心がじーんとした。だから、グリフの哀しみの告白に胸が痛かった。
『習慣でね、物心つかないうちにその子供の運勢を見る占いがあって……巻物と玩具の短剣を見せる……俺は短剣に夢中になった』