天翔る奇跡たち
ガナッシュが絡むので、あたしが前へ出た。
「しゃしゃり出るようで申し訳ないんだけど」
「本当にそう思っているのなら黙っていよ」
淡々として言うお姫様。
「あ、あの、だからね? みんな、長旅で疲れているのよ」
「自分でわざわざ疲れるようなことをしていた者もいるようだが?」
「んー、わかんないかなあ。ガナッシュが文句言うのは仕方がないよ。眠いんだもん。ただでさえあたし……た、ち……」
「おい、アップル。もしもーし! 聞こえてっかー? この頭ショートしてんじゃないのか」
ガナッシュが呼び起こしてくんなかったら、倒れてた。
だって、あたしら、ろくに寝てないもん。
こういっちゃ悪いけど竜の里のお姫様だっても、自分で呼びつけておいて迎えもないんだもの。
こちらがお客じゃないっていっても、何事かあったのかって思うよね。
迷わずこれたのは道が一本道だったからだし。