天翔る奇跡たち
誰にも……わからないと思う。同じ思いを経験しなければ。
って、それを笠に着るわけじゃないっていうか、立場は全然逆なんだけどさ。
知らなくてすむならそれで良いっていうか、マシ。そんなもんかな。ま、みんな結局死んじゃうし。順番が多少前後するかっていうくらい、の、もん。
「あ、目から水が……」
情けない事を言ったのはあたし。しょうもない事を考えるとすぐこう。
「なーに、言ってんだよ! ブレスくらいで!」
ばんばん、背中叩くガナッシュと、すっとハンカチを差し出してくれるグリフ。優しい……。でも、ハンカチは自分の持っているから。大丈夫、だいじょうぶだよ、グリフ。あ、ありがとう二人とも。
えーい、しっかりしろ、あたし!