天翔る奇跡たち

 誰にも……わからないと思う。同じ思いを経験しなければ。

 って、それを笠に着るわけじゃないっていうか、立場は全然逆なんだけどさ。

 知らなくてすむならそれで良いっていうか、マシ。そんなもんかな。ま、みんな結局死んじゃうし。順番が多少前後するかっていうくらい、の、もん。

「あ、目から水が……」
 情けない事を言ったのはあたし。しょうもない事を考えるとすぐこう。

「なーに、言ってんだよ! ブレスくらいで!」

 ばんばん、背中叩くガナッシュと、すっとハンカチを差し出してくれるグリフ。優しい……。でも、ハンカチは自分の持っているから。大丈夫、だいじょうぶだよ、グリフ。あ、ありがとう二人とも。



 えーい、しっかりしろ、あたし!


< 37 / 225 >

この作品をシェア

pagetop