天翔る奇跡たち
たとえばね、今日はデキが三十点だの、昨日より明らかに良いできだったとしても客席がしらけてると音楽の音量を上げて、ダーツで決めるとか、難癖ばっか付けられて。褒められてたところなんて、見たことない。
あたしはつい、楽屋へ一人で入り込み、彼女の無事を確かめようとした。たまたま、同じような用件で乗り込んできたグリフとガナッシュも居合わせていた。
服の上からだけではわからないところに生々しく残る傷跡のひどさを知って、あたしは心に決めた。
「きっとこの子を救い出してみせる」
いつものように、服の上から彼女をつねって泣かせる団長に、あたしは客席から飛び出して鞭を奪ったんだ。
「みんな、目を覚まして! こんなの蹂躙よ! 幼い子供をいじめて、泣かせるのが娯楽なの? 酷いことしてるって、わからないの?」