天翔る奇跡たち
「きゃああー、な、ま、前が見えないー」
とっさにドロップスを抱きかかえると、小さなその胸が速い鼓動を打っていた。
「大丈夫、ドロップス?」
「こ、怖いろ……」
と言って、しがみついてきた。
小さい手。
真実、守らないといけない、彼女は優しき森の守り手の末裔。
この世から失うわけには……ううん、そんなことは今のあたし達には関係ない。
ドロップスはあたし達の大事な、仲間なんだから。
その淡いブロンドの髪をもじょもじょとさせて、彼女は言った。
「あーっ、なんか、出てくるろう」
そのとき。
見張りのない門が開き(それもすっごい、勢いで)車を引いた走り魔(使い魔と同じ)が風を切ってあたしたちの目の前を走り去っていった。