天翔る奇跡たち


「早くいけっつーの!」

 すこしだけ赤い顔のガナッシュ。ごめん、怒らせる気じゃなかった。 

 ドラゴニアの谷、いや街は、出入り口が一つ、抜け穴(当然宮殿のどこか)複数。彼らにとっての鬼門は天井だ。亀裂から何が降ってくるかわからない。あたし達のように。

 そればかりじゃない、井の中の蛙もびっくり、なんと、海や林で見るようなとげとげの丸い物体が降って来た。

「ううひゃ!」

 これにはガナッシュも、リングの神秘の力を発揮できそうにない。


 ガシャコーン!


 地底人もびっくり。どんどんと跳び去っていく諸々の人々。そう、これが普通の反応だ。

 しばらくすると、それはとげとげのハリモグラのようにむくむくと起きあがり、見たことはあるが確かめる気がしない……これまたとある何者かに似ていた。


「どうよ! オレさまのダイビング。みてたか? なあ、オレさまの着地姿、いかしてただろ?」



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