天翔る奇跡たち
「ものだねってなんなろ?」
「ごめん、今は説明してる暇ない」
「ひま?」
「とにかく! 急いで逃げるのよ」
「にげうぅー」
にげろやにげろー!
あたしはドロップにいつもそうするように、ディノーディアさんの手をひいた。とんでもない軽さにあたしは内心びっくりしながらもぐいぐいひっぱってずいぶん、走った。
明かりのない、人工の火でさえ届かない奥地から、みんなぜえぜえいいながら陽の光を目指して走り抜けた。次第に涼やかな音色が聞こえる所まで、汗みどろになって。その谷川に着いた途端、へたり込んでしまった。
そんなこんなで逃げ切った。ただひとり、しんがりがまだ追いついてこない。そう、ガナッシュだ……