ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
エピソード4:じいさんに愛の告白???
約3ヶ月間、金を貯めながら自分なりに英語の勉強をした。

とはいっても単語を覚える程度だった。

しかしガキの頃から洋楽を聞いては歌詞の意味を調べたこともあったので、
少しばかりの単語は知っていた。

とはいっても所詮、単語を覚えるだけだった。


「LEGEND? 伝説か・・・」


その程度だ。

もちろん文法なんて分からなかった。

したがって会話なんて出来るはずもなく、今思えば無茶なヤツだった。


しかしその頃の俺はネイティブな英語で歌えるシンガーとバンドを組みたいと思っていて、
綺麗な英語が出来なくても音楽で会話は出来ると信じていた。

プレイには自信があった。

最初の目的は今の環境から脱出したかっただけだった。

不思議なもので最近は、目的がもっと明確になった。


「そうだ、音楽で交流を持とう!」


実際、俺にはそれしかできなかった。


出発の日が近ずき、ケアンズに持っていくミュージックテープを作っていた。

メタルからジャズまで自分のフェイヴァリット・ミュージシャンのCDを

出来るだけ多く120分テープに詰め込んでいた。

120分テープであれば本数も100本ぐらいに抑えられ、荷物も軽くなる。

自分の様な音楽フリークには100本でも足りない。

なにしろ一年間ディスクユニオンやレコファンに行けないのだ。

オーストラリアにも中古CD屋はあると思うが、自分の音楽のテイストを考えると不安だった。


「ケアンズにはザッパやドリーム・シアターなんてあんのかな?」


ニューアルバムが出たばかりのドリーム・シアターのCDをテープに録りながらガンガンにかけ、
ワーホリの本を参考に残りの荷物のパッキングにとりかかった。


「えーと・・・カメラは入れた。あとはラッパのマークの正露丸。あとは・・・」


その時クールなリフが聞こえてきた。

俺はそのリフにつられ、パッキングどころではなくなっていた。

10分後


「やばい、首いてー。」


なんてことはない、荷物のパッキングをないがしろにして、
10分ぐらいヘッドバンギングしてしまっていたのだ。

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