ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
初めて飛行機に乗り、初めての海外生活。

まさか同棲生活までできるとは思ってもみなかった。

まだオージーとバンドを組む事は
実現できていないが、実に充実した生活だった。

今考えると右も左もわからず、

子供のような気持ちでいれた事が
良かったのかもしれない。

全てが新鮮で常にポジティヴな気持ちでいれた。

もちろん最初の頃は知り合いもいなく、
殺人的な暑さの中たった一人のダチ、
ヘコンデルタで街を徘徊するしかなかったが、
返ってそれが俺の中のハングリー精神
を呼び起こさせたのかもしれない。

日本では興味の無い人に話し掛ける事などなかったが、
ケアンズに来て無の状態だった俺は積極的に人に話しかけ、
そこから知り合いを増やしていく事ができた。


次の日、俺とサマーは1時間ぐらいで自分たちの荷物をまとめ、
車で新居に運ぶことにした。

別れ際、俺はミックといつもより長いハグをした。


「テイク・ケア OK?」


ミックが優しく俺の耳元でささやくと、
突然ここを離れたくない気持ちになった。

ミックともミキとも・・・

ミックをうっとうしく思った事もあって結局
別々に住む事になった事に罪悪感を覚えた。

サマーは泣きながらミキともミックとも大きいハグした。

やはりケロッとした様に見えたサマー
だが実際はそうではなかったのだ。


俺は車に乗る前にもう一度このフラットを眺めた・・・


短い間だったが10年分の出来事が
凝縮されているように思えた。

ここで過ごした思い出は一生忘れる事はないだろう。


1週間後、思いたったようにミックとミキが居る、
以前ののフラットへ行ってみた。

ノックをしたが返事が無い。

ミックと呼びながらドアを開け中に入ってみると誰も居ない。


「あれ?もう出て行ったのかな?」


< 111 / 241 >

この作品をシェア

pagetop