ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
と、一瞬笑ったが誰にもマネのできない
次元の違うプレイだったことは事実だ。

そして俺たちの1つ前の
バンドのドラマーも凄かった。

バンドはいかにもと言うような
ブルースだったが、浅黒いそのドラマーは
ブクブクと太っていてブランデーグラスが
乗るんじゃないかというぐらいケツが突き出ていた。

目がちょっと垂れていてかわいい顔をしていた。

まるでエマニエル坊やの成れの果て
みたいな風貌だった。

そのドラマーはテクニックを
見せつけるタイプとは違い、
目をつぶり気持ち良さそうにリズムを
刻むタイプのドラマーだった。

時折、


「う~んフィール・グ~ド」


と、叫びだす。

ノリの良いテンポの時は


「ライド・オン!」


フィルがきまると


「イ~ハァオ!」


と、いちいちウルサイ。

しかしそのノリの良さに、気が付くと
こちらまで乗ってしまっていた。

そして本人はなんとも気持ち良さそうだ。


「いいな~こーゆーのも!」


俺は今までテクニックばかりに
目がいっていたので、ある意味ショックだった。

かけ声をかける事により自分や
周りまで盛り上げ、尚かつ酔わせてしまう。

その時ふと思った。

日本語でこれをやったらどうなるだろう?

例えばノリの良いテンポの時は


「ホイキタ!」


う~ん、笑えるがヘンだ。

フィルがきまると


「ヤッホー!」


やはりヘンだ。

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