ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
しかしサマーは間違いなく
「もう一度」と言った。

ということはもう一度日本のワーホリ
を取るという事なはずだ。

サマーの表情も穏やかな顔だし・・・

いやっ待てよ、前回別れ話を持ちかけられた時も
穏やかではなかったが同じような表情だった。

俺は心臓の鼓動が張り裂けそうに
なりながら確認してみた。


「ロッロンドンへ行くの?」


「トウキョウによ。」


「一緒に来てくれるの?」


サマーはうなずいた。


「ヤッホ~い!」


俺は嬉しさと安堵感が同時に込み上げ、
ララバイのはずがサマーを抱きかかえ
肩車までしてしまった。

大きく深呼吸し興奮を抑えようとしたが、
そうはいかなかった。

興奮が冷めやまないまま俺は日本に帰る前に
バスでアデレードまで行きたいことを伝えた。

しかしそれにはサマーも早めに仕事を
辞めなくてはならなかった。


「どうかな?」


「いいよ。」


サマーはその直後にこう付け加えた。


「途中で他の所へ行っていい?」


「えっ、どこ?」


「こどもの時住んでいた家」


「もちろんいいよ!」


どうやらサマーは子供時代転々としていたらしく、
一時期は砂漠のような所にも住んでいたという。

日本では考えられないが、キャラバンと言って
キャンピング・カーで生活していたらしい。

周りにはなにもなく街まで車で
4時間掛かる所だったようだ。

バスのルートでそこまで行けるかは判らないが、
なるべくサマーの希望を叶えようと思う。

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