ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
しかしそれ以外はこれといった目新しい
風景はなく、一定の風景を見ていたら
睡魔に襲われ、気が付いた時には遅い
昼食のため知らない土地で停車していた。

日本にある高速道路のパーキングとは違い、
ガソリンスタンドと小さいキオスクが
あるだけの寂れた場所だった。

時間は午後2時を回ろうとしていた。


「ずいぶんいい加減な時間に停まるな・・」


車内にはそのまま寝続けてる者もいれば、
キオスクで軽いスナックを
購入するものもいた。

サマーもその内の一人だった。

俺はというとまずタバコだった。

日本ではバスの休憩となると半分くらいの
乗客がタバコを吸いに行くが、
ここオーストラリアでは
30人中3,4人程度だった。

俺はタバコに火をつけると4時間も
吸っていないかったせいか、やけにウマイ!

他の乗客の男も俺の近くに来てタバコに
火をつけ煙を吸い込んだ瞬間、
眉毛を上げ俺に目を合わせ
「うまいねー」という顔をした。


「そうだろう、さぞおいしいだろう!」


俺はニヤッとした。

言葉はなかったがそのジェスチャーで
俺と同じ気持ちだとわかった。

オージーは実にジェスチャーが上手だ。

この男とは面識もなければ
会話したことも無い。

しかしジェスチャーだけで
コミュニケーションが取れてしまう。

お互い黙って吸っているよりは一瞬でも
ニヤッとさせてくれる方がリラックスできる。

しかしこの後「タカリ」が来た。


「スペアある?」


タバコにスペアもへったくれもありゃしないが、
1本くれということだった。

俺はハッキリと「イヤっ、ない。」
と言うと「OK」と言って
どこかへ行ってしまった。

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