ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
7時間ぶりのタバコに火をやろうとした時、鼻になんともいえない香りが舞い込んできた。


「なんだこの甘い匂いは?」


辺りを見渡すと南国らしいヤシの実やココナッツの木が並木道の様にそびえ立っている。


「空気うめー!」


「これがオーストラリアか!」


日本では何一つ良い事がなく日本を脱出したいと思っていた俺はテンションは高くなり尚且つ、
自分が素直になり始めるのが分かった。

オーストラリアの大地が俺という甘えたガキを少しずつ変えていくのだった。

車に乗り込みホテルに着くとチェックインのため待たされた。

しかしその間、人間ウォッチングしていると、時間があっという間に過ぎていった。

日本では周りはみんな日本人ばかりで外国人を見るのは映画やテレビだけだったので

表情を見ているだけで新鮮だった。


「へー、こうゆう時、こうゆう顔するんだ。」


チェックインを済ませ、ホテルから程近いビーチへ行ってみた。

海は驚くほど綺麗なエメラルドグリーンだった。


「パンフレットの写真と同じ色だぜ!」


エメラルドグリーンの海に金髪のお姉さん。

ますますテンションが上がりゲートボール場じゃないが「うわ~へヴンここ?」という気分だった。

まだ朝ということもあってかホテルの客らしき人々がジョギングをしたり散歩をしていた。

自分も散歩をしてみた。

向こうから散歩している人が通り過ぎている。

すると


「グッドモーニング。」


また次の人にも


「グッドモーニング。」


なんと自分から挨拶しているではないか!

日本ではロクに挨拶もしなかった男がケアンズに来て挨拶している!

環境や雰囲気で自分がこんなに素直になれるとは考えもしなかった。


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