ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
「ハレルヤ!」


車内のBGMなのか?

それとも誰かが歌っているのか?

俺は寝ぼけながら


「俺のテープにこんな曲入ってたっけ?」


思っていたが、寝ぼけながらもイヤフォン
から聞こえてくる音とは違う事はわかった。

まさかと思ったがイヤな予感は当たった。

やはり前の席を陣取っている
ビターちゃんが耳にイヤフォンをし、
張りのあるこぶしを利かせ歌っていた。

そう、俺はビターちゃんの
ゴスペルで叩き起されたのだ!

それは朝おふくろに叩き起こされた
気分だった。

そんなにデカイ声で歌っていたら
イヤフォンで聞いている
意味が無いのだが・・・・・

隣のガリガリ君は頭を抱え
通路側へ身を寄せていた。

その様はまるで避難訓練の
チビッコの様だった。

そんな周りのアクションにビターちゃん、
なんのリアクションも無しだった。

人を気遣うリアクションはないが
迷惑なアクションはあった。

鳴り止まない歌声と共に
今度は踊りだした。

もちろん起き上がることは幸いなかったが、
そのぶん首と肩と腕を使って踊っていた。


「暑くなるからやめろよ!」


と思ったが、ダンスは
エスカレートしていった。

チリチリのショートヘアのビターちゃんは
首を左右にやる度、二重にも三重にもなる
後頭部をブルブルいわせていた。

水風船もしくはおっぱいアイスのように
いつ破裂するんじゃないかと心配したが、
ビクともしなかった。

今度は肩を左右交互に
上げたり下げたりし始めた。

肩を上げ下げする度、脇がスリスリ。

その瞬間「プア~ン」と、
ほのかなビターな香りがしてきた。

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