ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
しかし何百メートルも先でクジラの尻尾が
ちょこっと見えるだけだった。

落胆した俺達を尻目に
「ビュ~~~ティフォー!」を連呼。

と言うよりは「ホラ、すごいだろ!」
と、俺たちをその気にさせようと
している様だった。


「何がビュ~~~ティフォーだよ!」


「なにも見えねーよ!」


俺と同じ意見を持った先ほどの
勇気あるキッズが今度はこう言い放った。


「こんな遠くじゃ見えるわけねーだろ!
ジジ~ィ!」


「なんでもっとクジラに
近づかないんだ!」


するとピーナツバターは
こう切り替えした。


「100メートル以上離れなくては
いけないんだ、坊主!」

確かにそういうことを受付嬢が言っていた。

しかし100メートルどころではない、
1キロくらい離れているのではないか?

と言うくらい遠く感じているのは
俺とキッズだけではないはずだ。

そこで俺は疑問に思った。

なぜピーナツバターはこんな遠くで
恐る恐る見ているのか?

「ビュ~~~ティフォー!」って言う
わりにはクジラに近寄れずビビッている。

そして俺は始めから気になっていた
左腕の包帯、杖をついた足を見た。

そしてピンときた。


「まさかクジラに・・・」


まさかとは思ったがクジラに
どつかれたに違いない。

どつかれる前は近寄りすぎたのだろうか?

望遠鏡は実はクジラから船を遠ざける為で、
日本の魚雷艇を恐れたバルチック艦隊の
マカロフ中将の様だったのかもしれない。

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