ワーホリ！メタルドラマーが国際結婚？

彼らとサマーのハグを見て、
どれくらい深い関係かわかった。


「なんつったってダッシュ
してハグしたもんな・・・」


こんな抱擁、小さい時にアルプスの
少女ハイジとかで見た以来だった。

早速、マーチに乗り込み急発進で
彼らの愛の館へ向かった。

やはりタイヤをキィーキィーいわせながら、
らせん状に下って行った。

国道へ出ると道左側ギリギリに走り、
前の車が少しでも遅いと、後ろへ
ピッタリと付け、レーサー気取りで運転
テクニックを存分に披露したファーガス。

しかしこんな運転でもサマーも
ヘレンも気にする様子はなく、
積もる話に２人は熱心だった。

信号待ちでは左手は常にギア、
そしてエンジンを吹かしながら、
いつ信号が変わるのか固唾を呑んでいた。

街にはマーチの様に古い日本車が多く
走っていて、中には日本で売ったら高値
が付きそうな車やバイクまであった。

こんなに日本車が多い要因としては、
ここオーストラリアも左車線、
右ハンドルという事かもしれない。

いよいよ信号が青に変わった。

俺は急発進の覚悟をし、
前のシートつかんだ。

俺の身体は硬直し、まるで猪木、
いやっ、春一番のビンタを受けるかの様に
固まっていた。

そしていよいよスタートと思いきや、
エンジン音は「ボッボッボッボ～」と、
スローダウンし、とうとう
エンストをおこしてしまった。

するとヘレンは一瞬「またですか？」
という表情をし、サマーとの会話を
続けながら外へ出た。

信号待ちしていた後続車に無愛想に手で
誘導し、後続車がいないことを確認すると
自分たちの車を後ろから押した。

ヘレンが外へ出た直後、
ファーガスはなにやら顔を赤くし
ブツブツと言い訳を始めた。

サマーは同情するかのように
「イェー、イェー」
と相づちするだけだった。

しかし俺にはこんなボロいの買い換えた
方がいいと思ったが
本人は気に入っている様子だった。