ワーホリ！メタルドラマーが国際結婚？

エピソード４９：２度目のワーホリビザ

数日後、ＣＤショップ巡りを
予定していた俺にサマーが言った。


「今日エンバシーに行くから・・・」


「エンバシー？」


俺は大事なことをすっかり
忘れてしまっていた。

サマーのワーホリの
ビザの取得があったのだ。

ケアンズには日本大使館や領事館
がないので、ブリスベンの日本領事館に
申請を出していたのだ。

今日がその結果がわかる日で領事館へ
行かなければならないのだ。

サマーも荷物を整理していたら、たまたま
書類が出てきて思い出したらしい。


「あー良かった！」


俺はヒヤッとしたが、これは
ピーナツバターに感謝しなければいけない。

あのピーナツバターが企画した
イカサマツアーのお陰で出発を
２日も３日も早めたからだ。

しかし急に緊張してきた。サマーは本当に
２回もワーホリを取得できるのか？

日本人は確か１つの国で
１回しか取れなかったはずだが・・・

疑心暗鬼になっていた。

しかし覚悟を決め、いざとなったら
観光ビザを取って俺が食わせればいい。

いやっ、待てよ、もし取れなかったら
サマーはやっぱり日本には行かないって、
言い出すかもしれない。

徐々に不安が出てきた。

道中そんなことを考えていると
領事館に着いてしまった。

いかにもオフィス街というような場所に
一際目立つ一面鏡張りのような
高いビルだった。

サマーと俺は回転扉から中へ入っていった。

すぐ近くにいかついセキュリティー
がいて、彼の誘導で１７階まで
エレベーターで上がった。

１階２階へと上がる度、胸の鼓動が
速くなるのがわかった。