ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
電車に乗り込みサマーに詳しく聞くと
この「トラベルパス」には他にも種類が
あり、グリーン、イエロー、
ピンクもあるという。

色によって行けるエリアが
決まっていて値段も違う。

この赤いレッドパスはシドニーの
中心街とちょっとした郊外までで、
俺には十分だった。

$20というのは本当に安く、地元の人達
の半額で買うことができたのだ。

というのもワーホリのビザを見せると
ディスカウントするシステムらしく、
ビンボー旅行者にはありがたかった。


「コイツはいいや!」


気持ちが高ぶりこれから
良い事がありそうな予感がした。

電車は昼時ということもあってか、目で数
えられる程度の人しか乗っていなかった。

電車はすぐに出ることはなく、
ポツリポツリと人が乗ってきていた。

俺は人が階段から降りてくる様子を車内
から眺めていると、体のごついやつが
ホームを行ったり着たり歩いている。

ただ歩くだけで決して
電車には乗り込まない。


「あの男なにしてんの?」


電車がまだ出る様子もなかったので
サマーに聞いてみた。

するとサマーは


「セキュリティーじゃないの・・・」


そう言った後、両肩を軽く上げ
「わかんないけど・・たぶん」
みたいな仕草をした。


「セキュリティーか・・・へ~」


「そんなに悪いヤツいるのかね?」


サマーはまた軽く両肩を上げ
「わからな~い」という顔をした。

俺は心の中で
「はっきりしゃべれ~コノ!口ねーのか!」
と、由利徹の様につぶやいた。

< 227 / 241 >

この作品をシェア

pagetop