ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
一緒に生活している時はロクに口も利かなかったが、

いざこうして別れようとするとなんともいえない気持ちだった。

この時「家族」という意味が少し理解できた気がした。

それと同時に自分がいかに甘えたガキっだったことを痛感した。

俺は心の中で


「大人になって帰ってくるから・・・」


と、つぶやきながら親父達を見送った。

親父達がゲートをくぐり、姿が見えなくなってから、
俺と義姉夫婦はショッピングセンターへ行くことにした。

義姉はすらっとしていて割りと背も高く、
俺とさほど変わらないぐらいで、サングラスが良く似合っていた。

義兄は純日本人の面持ちで暇があればウェイトトレーニングをしていてガッシリしたタイプだった。


「アキちゃんのマクラとかないからショッピングセンターへ行くね。」


俺は右も左も判らないガキの様に言われるがままについて行った。

ショッピングセンターの中に入るとあまりのデカさに驚いた。

山積みにされた野菜はキロ売りでアイスなんぞ4リッターで売っている。

おまけにチキンの丸焼きは$5と激安で驚くばかりだった。

なにせ買い物は近所のセイフーか赤札堂ぐらいしか行った事がなかった。

マクラや生活必需品を一通り買い揃え、恐れ多くも新婚の舘へ向かった。

舘へ着くと義姉夫婦は近所に住む日本人の知り合いにマットレスを俺の為に借りに行ってくれた。


「こっちではマットレスの貸し借りまでするんだ・・・」


なぜか小さい時にお袋が近所の人にしょうゆを借りに行ったことを思い出した。

新婚の舘は2階建てのメゾネットタイプの舘だった。

そこの一部屋を拝借させてもらうことになった。

義姉夫婦達は結婚式が終わったばかりだと言うのに明日から仕事だと言う。


「俺は明日からどうしようかな・・・」


新婚の舘は街から車で15分ぐらいの所でとても歩いていける場所ではなかった。

しかも東京みたいに信号や渋滞があるわけでもないので非常に遠い。

2,3日は近所を散歩するぐらいであとはひたすら音楽を聴いて部屋に閉じこもっていた。


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