ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
街からちょっと離れた所にKFCの看板が見えた。


「無難にここでイっか。」


自転車を走らせているとドライブスルーからパトカーが出てきて駐車場に止まった。

なにか事件でもあったのかと思いきや、警官はしっかりKFCの袋を持っていた。


「パトカーで買い物行ってイイのかよ!」


一人は中で、もう一人は車の中で食っている。

俺はそのパトカーのすぐ近くにチャリを止めた。

すると驚いたことに、さっきのコロコロがパトカーの中にいるではないか!

早くもスパイシーチキン1つを平らげようと骨をしゃぶっていた。

まるでライオンが一週間ぶりに獲物にありつけたかのように。

思う存分しゃぶった骨を放り投げ、袋から新しいスパイシーチキンを両手に一本づつ持ち、
左右交互に食べ始めた。


「マンガじゃあるまいし、いまどきこんな喰いっぷり実写で見れるとは感激だぜ!」


するとスパイシーな良い匂いがこっちまで漂ってきた。


「あっ”スパイシーな香り”はこれだったのか!」


「でも2回連続、同じもん食うんじゃねーよ!」


「しかしなんで店の中で食わないで駐車場で食ってんのかな?」


相棒は中で食っているのにコロコロだけ車の中。

俺はふと思った・・・


「動けないからか!」


ケアンズに来て数日、早くもカルチャーショックを味わった。

ドライブスルーからパトカーが出てきただけでも驚いたのにコロコロまでいるとは・・・

しかも「スパイシーな香り」の謎も解けた!


俺に気がついたコロコロは挨拶代わりにウィンクをした。

そのほおばり具合じゃとても「ハロー」とは言えないだろう。

俺はニヤニヤしながら店の中に入っていった。

言うまでもなくスパイシーチキンを平らげた俺はブラブラとチャリで街を見て回った。
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