ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
エピソード11:松田優作フリーク
ジョノスに入ると既にゴング・ショウは始まっていたのでノリさんが急いでボードに自分達のバンド名を書いた。


「BJ?これがバンド名か・・・」


やはり今回も出番はトリだった。

後でわかったことだが、トリを取るためにわざと制限時間ギリギリに遅れて行くらしい。

ノリさん達は自分達のシマであるかのように窓際のバルコニーを陣取った。

俺は出番までスティックでウォーミングアップしながら他の出場者を眺めていた。

ベースのヒデとクニがビールを飲んでいる隣でノリさんは軽くメイクをしている。

しばらくするとサックスのウォンさんが来た。彼は英語も日本語も話せるらしく、
たまたま飲みに来ていたウォンさんがBJを見てぜひ参加したいと頼み込んだらしい。


「ウォンさん大丈夫?」


「きょうなにやるの?」


「ブラウンシュガー」


「大丈夫!簡単だから。」


人のプレイを見ていた俺は次第にウズウズしてきた。


「たぶん次だから」


ノリさんがそう言うと、俺達はステージ近くへ移動した。

演奏が終わり、いよいよ俺の初舞台がやってきた。


「次はBJ!」


ジョノが紹介すると「Yeah!」と会場がざわめいた。

そしてプレイが始まるまで、静けさに変わった。

俺はスティックを持ち、ドラムキットに座ろうと思ったが、ジョノのバンドのドラマーがまだいる。

明らかに俺がいるのを知っていて気が付かないフリをしている。


「こいつBJでプレイするつもりなのかな?」


するとジョノが気が付いて、そのドラマーに話してくれた。

するとそいつは「Oh No!」といった感じで目を上に向け、渋々ドラムキットのイスを譲った。

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