ワーホリ！メタルドラマーが国際結婚？
他のメンバーが来るまで、優作やショーケンのビデオを見せてもらっていると、キッチンの方からイイ匂いがしてきた。


「よかったら食べて！」


奥さんが日本食を作ってくれていた。

そこにはチキンの照り焼きや煮物、ひじき、味噌汁まであった。


「ありがとうございます！じゃー遠慮なく、いただきます！」


朝から何も食べていなかった俺はすぐに一膳のメシを平らげてしまった。


「おかわりする？」


「いやっ、大丈夫です。」


遠慮してみたが素直になればよかった。

しかし俺の食いっぷりを見ていたノリさんは


「遠慮すんなよ。」


と言って空いた茶碗に大盛りよそってくれた。

俺は逆に恥ずかしくなったが「ありがたい」と日本人の心の温かさに触れた。

日本にいる時はひじきや煮物なんてあまり食べなかったが、こんなにウマイとは思わなかった。

しかも料理などしたことなかった俺は、ケアンズに来て以来、
スーパーマーケットで見つけたカルボラ－ナばかり食べていた。

カルボラ－ナは俺の口に合ったので無難にそればかり食べていたのだ。

満腹になりビデオを見て過ごしていると、極楽な気分だった。

日本食を食べ、日本のビデオを見ていると、
ここは本当にケアンズなのか？と、錯覚してしまう。

夕方になり他のメンバー、ベースのヒデ、ギターのクニがやってきた。
俺達は相変わらずストーンズの曲を２時間くらい練習し、ジョノスでプレイした。

相変わらず俺たちのバンドは大盛況で、その日もビールを１カートンさらった。


いよいよ明日から「OKギフトショップ」のバイトが始まる。

はじめてオーストラリアでのバイトということもあってか、
その日はあまりよく寝れず早めに目が覚めてしまった。

起きる時間までまだ１時間ぐらいあり、色々考え事しているうちに


「日本ではあんなバイトしたっけな」


と回想してしまっていた。

< 54 / 241 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop